君と桜と
「ほら、もう坂終わったよ。」
しばらくしてそっと目を開けると、坂の下まで来ていた。
ああ怖かった・・・もう寿命縮むかと・・・って
「ぎゃっ!ごめんなさい!」
奈緒は三谷君にぴったりくっついていたのに気づいて慌てて離れた。
「力強すぎでしょ。苦しかった。」
「ご、ごめん。」
奈緒は真っ赤になって謝る。
「嘘。怖がらせてごめん。」
三谷君はハハッと笑って言う。
「もお~三谷君のばかっ。ほんとに怖かったんだからね。」
口では怒ったふりをしたけど、本当は三谷君が笑って体が揺れるのまで伝わってきて、ドキドキして心臓が痛かった。
距離が近い分、三谷君の背中がいつもより広く見える。