君と桜と


三谷君は一歩横にずれて奈緒に見えるようにしてくれた。



「わあっ・・・すごい」


ちょうどそこは公園の角にあたる場所で小さな三角形のスペースになっていた。
そして、目の前からは町全体が見渡せた。


「知らなかっただろ?どう、お気に召しました?」


「うんっ!連れてきてくれてありがとう。」


「それはよかった。」



三谷君は満足そうに頷いてその場に座った。

奈緒も隣にちょこんと座る。


木と植え込みにさえぎられて道から見えないようになっているその空間は、小さい頃に作った秘密基地のような安心感があった。



再び心地よい沈黙がながれる。



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