君と桜と



「・・・そろそろ戻るか。」


「うん・・・みんなに怒られちゃうね。」



「だな。」



奈緒は名残惜しそうに目にこの風景を焼き付けた。

また来ていいって言ってくれたけど、今日のこの瞬間を覚えていたかった。


きっと次に来たときには同じ風景は見れないだろう。



この空の色


町の様子


三谷君の横顔


すべてを写真のように心に留めておきたかった。



次も二人でこれますようにと、ささやかな願いを胸に秘めて、秘密の場所を後にした。




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