君と桜と


「なおーっ!!どこに行ってたの!?
電話にも出ないしまったく・・・」


「あっごめん!携帯教室に置きっぱなしで・・・。」


「もう、何のための携帯なんだか・・・」


学校に戻ったのはお昼を過ぎた頃だった。

恐る恐る教室をのぞくと、さっそく絢に見つかってお説教をされていた。


三谷君は図書室に寄ってから行くと言っていたけれど、本当に教室に帰ってくるのかは謎だ。


「で、どこに行ってたの?
三谷君と一緒だったんでしょ。」


「えっと、ちょっとお散歩に・・・」



「散歩って、怪しい~っ」



「いやっ・・なにも怪しいことないって!」


奈緒は慌てて首を振る。


絢は大好きだけど、三谷君との約束を破るわけにはいかないもん。


「ふーん。
楽しかった?」


絢は意味ありげに微笑む。


「楽しかったけど・・・」

「けど?」



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