君と桜と


奈緒は一人で窓際の席に戻った。


午後から再開される練習に向けて、台本を見直す。



物語の中みたいに、日常が綺麗なものでいっぱいだったらいい。



欲張りで、汚い感情なんて、捨ててしまえればいいのに。



どうしたら捨てられるのかわからないので、そっと蓋をして、心の奥の方へとしまっておくしかないのだ。



上辺だけの綺麗、それでもいいから。



三谷くんと過ごす時間は綺麗であってほしい。




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