君と桜と
――なおちゃんのうらぎりものっ・・・!
――まって!かなちゃん・・・・・・
はっ・・・
これは、夢・・・?
カーテンの隙間から差し込む朝日が眩しい。
嫌な夢みちゃったな。
歌那ちゃんのコンサートなんて、今更行かなきゃよかった。
耳に焼きついた輝かしいピアノとオーケストラの音の渦。
そして拍手喝采
耳から追い払うかのように首を振ってもう一度布団をかぶる。
「あ、衣装合わせだ・・・」
もう一度夢を見直そうと思ったけれど、午前中から集合がかかっていたことを思い出す。
頭がズキズキ痛むけど、みんなの都合もあるし休むわけにはいかない。
奈緒はのろのろと起き上がって支度をはじめた。