君と桜と
「・・・怒ってないかもよ?」
三谷君は本から目をあげてまっすぐ奈緒を見つめる。
「えっ・・・?」
「怒ってないかもしれないじゃないか。だから箕輪は自分がやりたい事をやればいい。
夢は友達のために叶えるものじゃないだろ?」
「・・・」
奈緒はじっと三谷君を見つめたまま、動けなくなってしまった。
最初にずしんと重い衝撃
次にじわじわと心が暖かくなる感覚
心の変化に、頭が追い付かない。
こんなにも簡単に、氷が溶けてしまうなんて。
私が単純なのだろうか
それとも・・・三谷君の力なのだろうか。