君と桜と
「できた!!」
三谷君の何倍も時間がかかってしまったけれど、最初とは見違えるような出来だ。
「よく出来ました。」
三谷くんに褒めてもらえるなんて嬉しい、嬉しいよ。
でも、男の子に裁縫を教わって、上達したことを褒められているこの状況って・・・
「まさか三谷君がお裁縫まで出来るなんて。
私女の子失格だよね・・・。」
褒められて嬉しいのと同時にむなしくなって、奈緒はしゅんとした。
「・・・いまどき女の人が家事とか裁縫とかできなきゃいけないっていう考え、古いと思う。」
ん・・・?フォローしてくれているのかな。
なんか話が飛躍してるような・・・?
しかし、三谷君の表情は真剣そのものだ。
「それに、俺は出来なくても頑張る子、好きだよ。」
三谷君は奈緒の目をじっと見つめてそう付け加えると読書を始めた。