君と桜と
もう、とまらない。
夏休み最後の週に入り、教室はすっかり舞台へと様変わりし、練習は朝から始まるようになっていた。
皆疲れていたけれど、文化祭に向けてクラスの盛り上がりは最高潮に達しようとしていた。
この日珍しく、早起きに成功した奈緒はルンルン気分で教室に入る。
「おはよっ」
「おはよ!奈緒
今日珍しく早いね!何かいいことでもあったの〜?」
絢はニヤニヤと笑いながら問い掛ける。
「うん!あのね、ピアノ教室決まったから三谷くんに報告しようと思っ・・・」
自然に窓際に目を向けると、結衣ちゃんが三谷君の側に座って話し込んでいる様子だ。
結衣ちゃんのかわいらしい笑顔が輝いていた。
「・・・」
「奈緒・・・」
凍りついたように一点を見つめる奈緒を、絢が心配そうに見つめる。