君と桜と
ガラガラ・・・
向かった先は、図書室だった。
この前三谷君が連れて来てくれた時と同様、中には誰もいない。
三谷くんが一緒じゃない、というだけで、あの日よりもこの場所の空気が冷たく感じられる。
奈緒は落ち着かないまま、本棚を見て歩いた。
本当に自分がどうかしちゃったんじゃないかと思う。
元々、私だって勝手に三谷君にくっついていただけだし。
私にとやかく言う権利なんてないのに・・・。
わがままな気持ちのせいで、話そうと思っていた事も話せなかった。
こんなに苦しいなんて。
この苦しさから抜け出す方法を、本当は知っているのだ。
ただ、本当にそれをしてもいいのかわからないだけで。
そんな勇気が、出ないだけで。