星の輝く夜に
不思議なほどに人通りのない隣町の道を走り抜け、
元いた街へと戻ってくる。
時計を見ると、8時30分。
タイムリミットまで、あと23時間30分だった。
「・・・今日はもう止めよう」
体調が悪いなど適当に理由をつけて、今日はもう仕事を止めよう、
彼はそう決意して、即座に会社に連絡を入れた。
会社の方はあっさりと彼の言い訳を信じてくれたおかげで、
彼は早々に会社にタクシーを置き、帰路へとつくことができた。
タクシー会社から20分後、家からの最寄りの駅にたどり着く。
駅前はごちゃごちゃと色々なお店が並んでいて騒がしい。
彼は毎日、この駅前の店で大抵のことを済ませ、帰っていく。
例えば食事とか、日用品の調達とか。
彼はしばらく家の方向へ歩いていると、ある所で足を止めた。
そこは、駅前の商店街でもひときわ騒がしい場所。
そう、パチンコ店だった。
(どうせ明日死ぬなら、持ち金全部つぎこんじゃおうかな)
ギャンブルは、一通り全てやっている。
休みの日はパチンコ、競馬があれば競馬、競輪があれば競輪。
マージャンは昔よくやったが、今では一緒にやる友人はいない。
彼はしばらくぴかぴか光る「パチンコ」と書かれたネオンの文字を見つめた後、
すっとお店の中へと消えていった。