星の輝く夜に
結局、あらゆるエクストラを盛り込んだ牛丼は持ち帰ることにし、
彼は近くのコンビニに寄って、自宅のアパートに戻ってきた。
壁にかかった古ぼけた掛け時計を見ると、既に時間は22時を回っている。
残りの時間は、あと22時間。
6畳一間のぼろアパートは、ほとんど荷物も無い。
畳の上に、古いちゃぶ台だけがぽつんとある風景は、
見慣れてはいるが、やはり殺風景だった。
ちゃぶ台の上に白いビニール袋を置いた。
中には、いつもであれば、350ミリの発泡酒を買うのだが、
今日に限っては、500ミリの、エビスビールの新製品が中にあった。
「・・・これで明日死ななかったら、滑稽だな」
彼はあざ笑うかのようにそうつぶやいて、
缶ビールのふたを開ける。
ぷしゅ、という音がすると同時に溢れる泡を抑えるため、
彼は一気にビールをのどに流し込んだ。
高いビールだけあって、いつも飲む発泡酒より断然喉越しが良い。
寿命にかかっている電球が照らす部屋が薄暗い。
そろそろ変えなければ、と思ってはいたが、変える必要もないらしい。
もっとも、あの『天使』もとい『死神』とかいう女性の言葉が本当であれば、なのだが。
テレビすらないその部屋に、彼は一人ビールを飲み干す。
そして、とりとめのない事を考えるのだった。
「俺、・・・何の願いを叶えたいのかなぁ・・・」