星の輝く夜に
「・・・俺も、明日には星になれるんかな」
はるか昔、幼いころに聞いた話だった。
人は死んだら、星になる、と。
今になれば、そんなことはあり得ないことなど重々承知している。
ただ、誰もが真実を知っていても、
美しく輝く星に思わず希望を託したくなる気持ちを、
今の彼には痛いほどよく分かった。
「・・・ははっ」
その笑いは、自分自身に向かうものだった。
そもそも本当に死ぬのか、それすら本当化も良く分からない。
あの女性の言葉を信じる理由など無いはずだった。
でも。
彼はもう自覚していた。
外に乗り出した自分の体が、すでに寒さに耐えられるものではないこと。
食事ですら、体が受け付けなくなりだしていること。
酒を飲むのも、大変だったこと。
着実に、ほぼ着実に、体は限界へと向かっていた。
それなのに。
死なないから生きている、
そのはずなのに、
思いつく限りの贅沢をつくそうとした自分自身の魂胆に、
彼は笑いを零さずにはいられなかった。
その笑いは、いつしか涙へと変わり始める。
前に流した涙がいつだったのか、
何故今涙を流しているのか、
それを知るのは、彼一人だった。