星の輝く夜に
「うわぁぁ・・・」
展望台から望む風景は、絶景そのものだった。
夜の空には、満天の星が輝き、
町は、建物の光などで、光があふれている。
光の洪水というのは、こういうことを言うのだろう。
「あ!」
少女が声を上げると、父親はしゃがみこみ、少女と同じ目線に顔を合わせる。
「どうしたの?」
「流れ星だよ!」
少女がそう指差す先に目線を遣ると、再び、星が流れて行った。
「・・・あのね」
父親の声は、ひときわ優しかった。
「流れ星はね、
・・・お星様になった人の想いを、地上に住んでいる人に伝えるために、
ああやって空を走るんだ」
「うそ、本当?」
少女は目を輝かせ、もう一度空を見上げる。
「じゃあ、さっきのって、お母さんの?」
「そうかもしれないね」
初夏のさわやかな風が吹き抜ける丘の上。
2人は、幸せそうな表情で、夜の空を眺めていた。