星の輝く夜に
しばらくタクシーで走っていると、隣町まで来た。
ここから先は目低地を聞いていない。
「・・・お客さん、隣町まで来ましたけど」
あてもなく、縦横無尽に走る訳にもいかず、途中で車を止める。
隣町は、あまり栄えている場所ではない。
だからこそ、目的地がないというのは、不思議な話だが。
後部座席の客は、窓から顔を離し、前を向いた。
ミラー越しに見るその人が、かなり若い女性であることを、この時に彼は知った。
「・・・それじゃあ、あと5分、適当に走らせてください」
「はぁ」
彼は気の抜けた返事をするだけしかない。
後ろから車が来ないのを確認し、彼は再び車を走らせた。