good-friend
「お茶は残念だったね(笑)これでよかったらあげるよ。」


その人はまだ口をつけてない、ミネラルウォーターを文香に差し出した。


「でも、いいんですか」


「ああ、もお、転ぶなよ(笑)」


「うん、ありがとう」


「はい、これはちゃんと捨てて」


中身の無くなった缶を手渡される。


「は~い(笑)」


ニコっと笑って、その人は去っていった。

(確か・・・あの人、前のバスケ部のキャプテンだよね?)


文香の通う高校は、一応世間では名門と言われる進学校だ。


文香も中学校までは親の期待に応えようと毎日こつこつ必死で勉強してきたが
高校に上がったとたん、ぷつっとなにかが切れたように気がぬけてしまっていた。


「あ~今日は一時間目から数学かあ~」


一番の苦手教科が朝一からという月曜の時間割が文香は大嫌いだった。


「ふみか~どこいってたの?もお授業はじまっちゃうよ」


教室に入ると、親友の理恵が話しかけてきた。


「下にお茶買いにいったらつまづいてころんじゃったんだ。」


「うそっ!ダサっーーー」


「もー!少しは心配してよ」


「ごめん、ごめん大丈夫?」


「大丈夫だよ、ありがと」


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