good-friend
「な~んだ、ふみか、見つかったのか。」


良太が教室の後ろでたまっていた男子の集団からこちらに向かってくる。


「な~んだ、ってどういう意味よ」


文香は少し怒ったように良太をにらむ。


「だってお前、数学嫌いだからさ、サボってんのかと思ってたんだよ」


「そんなこと、するわけないでしょ!ちょっと自分の成績が良いからって、馬鹿にしな

いでよ。」




冗談でふんっと横を向くと、良太は意地悪そうな顔で笑ってた。


文香、理恵、良太の三人は、一年生からクラスが一緒だった。



良太は勉強ができたので、テスト前には三人の内の誰かの家に集まって勉強会をした。

文香は男子と話すのは苦手な方だったが、なぜか良太とは何でも話せて、仲が良かっ

た。変に意識もせず、兄弟みたいな感じで。



彼は大切な大切な友達だった。



「・・・そういえばさ、」


二人の間に割って入るように理恵が話題をふってくる。



「今日、数学の南先生の代わりに、新しい先生が来るんでしょ」


「え?南先生どうしたの?」


「調子悪いらしいよ。」


「もうすぐ産休っていってたけど、急だね。」



< 3 / 87 >

この作品をシェア

pagetop