good-friend
良太の病室の前 

―トントン、ノックをして中に入る。

病室には誰も居なかった。


良太?寝てるのか・・・そっと脇の椅子に座る。

少し髪がのびたね。そっと伸ばした手がまつげに触れた。


「うっ・・・」


(ごめん。) 体勢を変えて、また眠る。


「なんか、子供みたいだね(笑)」



良太と二人きり・・・

この時がずっと終わらなければいいのに・・・



あれっ、このストラップ??

電源が切られた携帯に付けられたくまのキーホルダー・・・これって、前のバレンタイ

ンデーのラッピングに私があげたやつだよね!?




「・・・ウンっ?文香?」


その時、良太が眠そうな顔で起き上がった。


「あっ、ごめんね。起こしちゃって。。。良太、これってさ、私が、あげたやつだ

よね。このくまのキーホルダ。」


「あぁ、そうだよ。あれからずっと付けてたのに、お前、気付かなかったのか?!」

「うそ。気付かなかった。」

「お前って相変わらず、鈍感だよな。。。」

「ごめん。」

「謝らなくてもいいよ(笑) お前にもらったのは全部とってあるんだ。あのブルーの袋
も、リボンも。」

「あのラッピング、全部??」

「お前に物もらうなんて、めずらしいからな。(笑)」

「・・・」

「どうした?文香?」

「なんか・・・感動した。ありがと・・・良太。大好きだよ。」


―大好き!?― 言ってから真っ赤になった。


「お前、何赤くなってんの?面白いな。」

「もう、見ないで!」

「なんだよ ハハ・・・」


その時、笑ってた良太の顔が急にこわばった。

「良太どうしたの?」
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