good-friend
今日は、授業なんて身が入らない・・・


文香はずっと、教室の窓の外を見て過ごしていた。


両側に少し積もった雪が昼の光に溶け出している。



「文香?大丈夫か?」


休み時間に、良太が声をかけてきた。


「うん。もう大丈夫。」


「そっか。よかった。」


良太の笑顔にほっとする。



「今日、俺んち来いよ。試験終わったし。今まであんまり、ゆっくり二人で、話せなかったしな。」


「油断しちゃだめだよ。結果、まだなんだから。」


「お前って、なんか失礼だよな~(笑)俺の実力信じてないわけ?」


「そういう意味じゃないよ!ただ心配してるだけ。」


「ハハ、分かってるよ。でも、今日くらい、ゆっくりしていいだろ?」


「・・・そうだね。良太がんばったもんね。」




放課後を知らせる鐘が鳴り、文香はクラスメイト達に別れを告げてから、良太と一緒に


歩き出した。



「雪解けたね~」


「ああ。」


「でもまだ、寒いな。」



良太は文香の手をにぎって、自分のポケットに入れた。


あったかい。。。心まであったまる。




駅まで、お互いに無言だったけれど、気持ちは通じ合っていた。良太のポケットの中で


つないだ手から、ずっと、愛しさがあふれ出している。
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