good-friend
2年生に上がりたての頃の、春の日を思い出す。


その日文香は小テストの成績が悪く、一人、居残り勉強をしていた。

課題が終わって、職員室に提出し、帰り支度をしていると急に教室に良太が入ってきたのだ。


「良太?。。。どうしたの?」

「先生に進路相談してたんだ。終わって教室の前通ったらお前の姿が見えたから・・・」

「そうだったの?進路かぁ・・・って三年上がれるのかな私?今、居残り、終えたばっかりだし。」

「 大丈夫だよ。勉強会がんばろ。もぉ帰るんだろ?一緒に帰ろう」

「そうだね」

その日は雲ひとつない晴天で、

靴を履き替えて、校庭に出ると、桜の花が咲き乱れている。


「俺さ、教師になりたいんだよね。」

不意に良太がつぶやく。

「えっ?!そうなの?初めて聞いた」

「はじめて言った(笑)」

「いいじゃん、夢があるのって。

 あ~桜きれいだね。。。良太、見て!ここ、桜のじゅうたんみたいだよ。」

一面ピンク色になった道路の上で文香は立ち止まった。


「文香・・・」


振り向くと良太が真剣な顔して立っている。


「どうしたの?」



「ずっと好きだったんだ。

 俺とつきあってほしい。」


「えっ・・・」


一瞬体全体がカーーっと熱くなっていくのが分かった。


(私も好きだよ)・・・本当はそう言いたかったんだ。



良太に初めて出会ったのは、入学式に行く途中の電車の中だった。満員の電車の


中、凛とした姿で立っている、背の高い男の子。短髪の黒髪に大きい目が特徴的で、文


香は、一目惚れをした。「同じ高校の制服だ。何年生だろ・・・」初めて入った教室の


中に、彼を見つけた時は、胸が高鳴った。その彼が、良太 だったのだ。

< 7 / 87 >

この作品をシェア

pagetop