good-friend
次の朝、文香は目覚まし時計よりも、早く起きた。

いつもより、丁寧に髪をブローし、制服を着て、食卓に降りていく。



「文香、おはよう。今日で高校生も最後だね。」


「うん。おはよう。ママ」


「最近、良太くん来ないけど、けんかでもした?」


「う、うん、まあ、そんなとこ。」


「そういえば、理恵ちゃんは、あれから、元気なの?」


「うん。一緒に卒業は出来ないみたいだけど、学校来てるよ。」


「そう。最近、三人で集まることもなくなったわね。前はよく、うちで勉強会して、良

太くんに勉強、教えてもらってたでしょ。なんか、懐かしいわ。。。」


「・・・」



そう、私達三人はこの三年間ずっと、親友だった。恋愛関係になるまでは、お互いに知

らないことなんか無かったのに・・・愛情が友情を壊すことになるなんて。それが

怖くて、良太の最初の告白に応えられなかったのだけれど、今はそれが裏目にでてしま

った。


良太は今でも私の事、思ってくれてるんだろうか?あんな突然の別れ、受け入れられて

るのだろうか?理恵に泣きつかれて無理矢理、つきあっているんだろうか?目の前の現

実に耐えながら、確証のない、気持ちに、すがりつくのは、辞めたほうがいいかもしれ

ない・・・分かっている。分かっているけど、それでも、私は良太を待ちつづけるんだ

ろうな。。。


「文香、いつまで食べてるの?もう出ないと、遅刻するわよ。」


「ほんとだ。もう、こんな時間。いってくるね。」


「いってらっしゃい。」



靴を履き、あわてて、ドアを開ける。




「おはよう―文香。」



ドアの向こうには、夢にまで見た、優しい笑顔が、待っていた。
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