だけど、これは届かない
受験勉強は苦じゃなかった。
勉強が得意だからじゃない。
ただ、自覚なく受験が終わった。
自覚もやる気もない私でも、毎日塾に通えばそれなりの県立高校に受かった。
咲ちゃんと同じがいい、という不純な動機。
咲ちゃんと一緒にいたい、でもきっとそれだけじゃない。
私はきっと咲ちゃんを…
「あ、あれ同じ学校の人じゃね?」
咲ちゃんが前を指差しながら言った。
たしかに私達と同じ制服を着くずすことなく完璧に着てる人が見えた。紛れも無く同じ新入生だ。
「あの人についてけば間違いない」
「人任せは良くないよ、咲ちゃん」
「お前もな」
二人そろって方向音痴。
咲ちゃんとの共通点なんてそういう得じゃないことばっかり。