《完》愛さずにはいられない【BL】
「……」
梓遠の弟が俺の前に座っているーー
ヤツから爽やかな整髪料の匂いが漂う。
俺は頬杖ついて…利遠の背中を見つめる。
「碓氷…」
「……呼ばれてるぞ」
利遠が俺に小さな声で話しかける。
「う・す・い…」
皮肉めいた声で古典の氏林先生が俺を呼ぶ。
「うわっ…え、あ…はい!」
俺は席を慌てて立ち上がる。
「続きを読め」
俺は全く教科書も開いてなくて…何処を読めばいいのか分からなかった。