恋した私の負け(短)
「あいつは、彩のことちゃんと好きだよ……大丈夫だよ」
せっかくのメイクも台無しになるくらい泣いてた彼女は、「ごめん」を何度も呟いた。
「要ちゃん、滝のこと好きなんでしょ」
他の人が来る頃にはすっかり泣き止んで、それはそれは(メイクが崩れた)酷い顔でこっちを見ている彼女。
「好き“だった”。私もそろそろ次探さなきゃ波に乗り遅れそうだしね」
適わない、そう思った。
「……きっと、すぐできるよ」
「そうかな、」
「要ちゃん可愛いから」
彼女と笑って話せるの、何年ぶりだろう。いつからお互い笑わなくなってたんだろう。