恋した私の負け(短)
いつから好きかなんて、もうずっと前に忘れてしまった。
中学の時から注目を集める存在で、周りに人が集まる人望の厚さがあって、私の中でいつも彼は輝いていた。
でも、この気持ちを表に出そうとは思わないし、彼の友達を辞めるつもりもない。
彼女が出来たのは高校に上がってすぐ。
小さくて、可愛くて、女の子らしい子だった。その子が意外に積極的で、今まで彼をリードして上手くやっていた。
それが羨ましくて、心のどこかで少し憎くも思っていたのかもしれない。でも、それでいいと割り切っていた。
……なのに、だ。
「彩と、距離置いてるんだ」
これまでにないくらい悲しそうな顔でそう言うもんだから、つられて私までマヌケな顔になってしまう。