何故か私、不良の彼女になりました
スッと少し高めの鼻筋に、色素が薄い形の良い赤色の唇。サラサラした光を思わせる髪の毛にすらりとした物腰。
唯一の欠点は、目付きが悪いことだけだろうか。
だが、彼の美貌ならばその欠点さえ簡単に長所に変えてしまいそうだ。
円香はこちらをじっくり見られることに戸惑いと恐怖を感じながらも、勇気を出して話しかける。
「あ…の」
「円香」
「はい!?」
下の名前で呼ばれるとは思わなくて、驚きのあまり声が裏返った。
「……単刀直入に言う」
しかしその裏声には何も触れず、彼は背筋をピシッと伸ばし固まる彼女に面白そうな表情を向ける。
円香はその顔と言葉に身構えた。
マキは何を言いだすのかと息を呑んで見守るが、水色髪の男だけは相変わらずニコニコしている。