何故か私、不良の彼女になりました
「やっぱりそうですか?」
それでも、困惑したように苦笑する。
「それにしても香水の匂いなんて…、全然気付きませんでしたよ」
さわっ、と円香に同意するみたいに柔らかな風が吹く。それに釣られ、彼女らの髪の毛も羽織っている服も、生命を受け持ったかのように自分勝手に踊る。
周りの木々はそれを待っていたかという様子で、サワサワと軽快に音を鳴らした。
しかし今のマキはそれに思案し鑑賞している場合ではない。
「…っ、それはっ、バレないように少量しか使ってないから」
再び、顔を強張せ、微かに声が上擦る。
「なら何故、先輩方は気付いたんでしょう…」
彼女はただ単に疑問を率直に声に出しただけなのだが、マキにとってみたらそれは痛いところをついていた。
円香はたまに変に鋭かったりするのだ。