何故か私、不良の彼女になりました
マキは正直なところ、こんな奴等に名前など教えたくはない。
だからと言って彼女を責める気もさらさらない。
円香が自分を呼んだことで伝わってしまったのなら、それは仕方ないと認識している。
だが既に、円香の名を二人は知ってしまった。
それならばどんなに嫌がろうと教えなければならない。
彼女の為にも。
「…坂下マキ」
マキは相手方を未だに睨みながら、名前だけを声にかえた。
「そっか。じゃあ、よろしくね。 円香ちゃん、…マキちゃん?」
目を細め自分に笑いかけてくる男に全力で否定したかったが、それをなんとか堪える。
「…円香、俺らはこれから、溜まり場に行かなきゃいけねぇ」
「はぁ…」
気の抜けそうな返事を返す少女。
溜まり場、所謂不良が集まるところだろうか。