何故か私、不良の彼女になりました
「だからここで別れる。
…いいか? お前は俺の女だ。忘れるなよ」
彼は円香を鋭く見据えると、身体を反転させ歩きだした。
英二は円香達にまたね、と手を振ると身を翻し、遠ざかっていく。
それを二人は見送った。
円香とマキは彼らがいなくなった後も、お互い向き合いながらまだ中庭に二人して立っていた。
「……マキちゃん、私」
どうしよう、と今にも泣きそうな顔をする少女にマキは真剣な表情で言う。
「円香はあたしが守る」
力強く、ハキハキとした声色。
「あたしも円香と一緒に行動するようにするから。だから…大丈夫」
少しでも安心させるように優しく頭を撫でてやると、それに答えようと精一杯の笑顔を浮かべた。