何故か私、不良の彼女になりました
「……あれ、反応がないな」
普通ならキャーッ!って叫ぶところなんだけど、と頭を掻く男。
マキは息を吐き出し、呆れたような表情をした。
「……馬鹿じゃないの。あたし達をその辺の女と一緒にしないで」
彼女が英二を見ずに言い切ると、何故か言われた当の張本人は嬉しそうにしていた。
それを目撃していたのは、円香のみ。
聡は沈黙したまま先頭を歩き続けているため、会話は耳に入っても彼の表情は見えていない。
「……、…」
彼は、ふざけていたのだろうか。
それとも。
───どんな人間か、試していたのだろうか。