何故か私、不良の彼女になりました
ふたりの隙間を埋めるように彼女に近寄る英二。
ポンッとマキの肩に手を置き、彼女の耳に自身の唇を近付け、呟く。
「───あの子に、バラされたいの?」
瞬間、彼女の顔は強張り、次いで悔しそうに表情を歪める。
その様子を、彼は玩具を見つけた子供のように愉しそうに眺めていた。
一方、円香は不審げにふたりを視界に捕らえていた。
(……マキちゃん?)
その瞳に映るのは、不安と、淋しさ。
それから──、小さな、怒り。