何故か私、不良の彼女になりました


ふたりの隙間を埋めるように彼女に近寄る英二。

ポンッとマキの肩に手を置き、彼女の耳に自身の唇を近付け、呟く。


「───あの子に、バラされたいの?」


瞬間、彼女の顔は強張り、次いで悔しそうに表情を歪める。

その様子を、彼は玩具を見つけた子供のように愉しそうに眺めていた。


一方、円香は不審げにふたりを視界に捕らえていた。


(……マキちゃん?)


その瞳に映るのは、不安と、淋しさ。


それから──、小さな、怒り。



< 68 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop