何故か私、不良の彼女になりました
勿論、彼女はマキ達の会話など聴こえはしなかった。
何か言っていたというのは彼が耳元に口を寄せた時点で理解は出来るが。
円香はぐっと拳を握り、目を伏せる。長い睫毛が微かに震えた。
出会ってまだ二日目の彼らが、彼女にそんな辛そうな表情をさせているのだと思うと、苛立ちが沸きおこり。
ふたりは自分の知らないマキを知っているのかもしれないと思うと…、淋しくなる。
(……マキちゃん)
貴方は一体何に怯えているのですか──。