何故か私、不良の彼女になりました
「…え、あの、細川先輩っ!」
どどど、急激に汗が吹き出る。
手足を忙しなく動かすのは、相当焦っているからだろう。
「そそそそういう意味で言ったわけではなくてですね!」
「…そうなの?」
「はははいぃいっ!」
ピッキーン、背筋を伸ばし、出来るだけ彼らと目を合わせないようにするが、聡から猛烈に視線を感じる。
(…芳本先輩、機嫌悪いです!)
なんだかもう泣きたくなってきた。
「…ククッ、吃りすぎだよ円香ちゃん」
ケラケラと声を上げて笑う英二。
彼女が一生懸命違うと断言したおかげで、聡を取り巻くオーラは正常に戻った。