寸止めの恋心
『もしもしひろかー?どした?』
「京ちゃん、迎えに来て、予定つぶれちゃったから」
『今から?…おっけー、校門で待ってて』
こんな返事が返ってくるあたり、可愛げもなにも無い口調で、しかも唐突にお願いとも言えないような頼みをするあたしを、彼はきっと不快に思っていないのだ。
どちらかというと、ありがちな妹ポジションと言ったところだろうか。
それを今まで気にしたことも無かったし、当たり前の事だと思っていた。
初めて快く思わなかったのは、2週間ほど前のことだった。
(あの日は、雨だったっけ)
「わかった、待ってる。10分以内に来れなかったら、罰でアイスおごってねー!」
『え、ちょ、俺まだパジャ』
「ばいばいっ」