NAO
ドアが閉まる。


バスが発進した。


後ろの席から手を振り続ける飛鳥。


あたしも飛鳥が見えなくなるまで手を振り続けた。


もうほとんど雨は降っていなかった。


あたしは帰ろうと、体を反対側に向けた。


―その時...


あたしは固まってしまった。


何で、ここに...?


声にならない疑問があたしの中に渦巻く。




「...奈緒。」




直があたしの名前を呼んだ。
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