NAO
俺の近くに寄ってニコニコ笑う。


何だろう、と思った。




「昨日言ってた、カチさん?
お父さんが知ってるって!」

「...まじ?」

「あのね、でもね、今病気って聞いたよ...?」




俺の顔から血の気が引いて行くのが感じられた。


ザーッと、肌の表面が冷たくなっていく。


病気...?


それが加地が教師をやめた理由だと、すぐに分かった。


知らなくて―
俺はずっと夢を捨てた加地を責めた。


バカだ、俺。
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