NAO
きっぱりそう言って奈緒は別の話題を始めた。


気弱になっている俺を気遣ってくれていると分かった。


でも、ショックの方が大きかった。


加地のこと、知らない方が良かった。


知らないまま、
あいつは夢を捨てた教師だった、と思い込んで、
関係を絶ったまま時間を過ごしていれば...


そしたら、俺はこんな変な気持ちを味わう事はなかった。


死ぬと分かっている人に会う様な事は、なかったはずだった―

*+*

「こんにちは!」




ここに来るのは2回目だ。


昨日来たばっかりだから、あまり変わっていない様な気がした。


ただ、奈緒が隣にいると言う事実だけが、変わったところ。
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