NAO
その日、病院を出てから奈緒に聞かれた。




「加地先生と、どういう関係なの?」

「中3の担任だった。
...授業全然でねぇ俺にしつこく話しかけて来てさ。
根負けしたというか―」




分からない。


どうして俺はあの時加地のために授業に出ようと思ったんだろう。


確かに俺みたいな奴が授業に出ることが加地の夢なら―
叶えてやろうと思った。


でもそれだけ?


俺って案外単純な奴、と初めて思い知った。




「じゃ、直の恩師?」

「...かもなぁ。」
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