NAO
「ねぇ、これ...」




泣きそうな顔で壁の一点を指している。


そこを見た俺は、絶句した。


病室の下にあったはずのネームプレートが...
なくなっている。


俺は勢いでドアを開けた。


中は空っぽだった。


そう、何もない。


俺たちは立ち尽くした。


看護師さんがやって来て、俺たちに何をしているんですか、と問う。




「...ここにいた人は?」

「あぁ―
一昨日、亡くなりました...」
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