NAO
「んなことねーよ。」




直は不機嫌そうに、吐き捨てるように言った。


あたしはムッとしてしまった。


テスト直前なのに、楽しく喋っている直に。


自分に自信が持てなかったからかもしれない。




「ちょっと自分が頭良いからって、いい気になってる?
...あたしはどうせ―」




そこまで言って、何て言えばいいのか分からなくなってしまった。


感情に任せて叫んでしまったせいだ。


あたしは唇をきつく噛み締めて、家とは全く別の方向に走って行った。



気付けば夜。


あたしはフラフラ住宅街を歩き回っていた。
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