NAO
直のバカ。


...あたしのバカ。


バカ、と叫び出したいくらいだった。


何に対していらついてるんだろう?


自分でも分からなかった。


そんな自分に対しても怒りが湧く。


ずっと唇を噛んでいたせいか、口の中にうっすらと血の味がして来た。


何をこんなにいらついてるんだろう?


勉強もせずに余裕な直?
あたしのことを気にせずにずっと喋っていたから?
いつまでも加地先生のこと引きずって、あたしのこと見てくれないから?


それとも好きな人に怒鳴ってしまった自分?
何も考えずに飛び出してきたバカなあたしに?
直に優しい言葉1つもかけてやれない自分?


もう分からない。


自分でもあほらしくなって、家に帰ろうとした。
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