NAO
「上に行ってみないか?」

「...うん。」




初めて喋ったからか、なぜか緊張する。


同学年なのに。
同じクラスなのに。


屋上へ向かって並んで歩いた。


途中、話すことはなかった。


ただ、階段を上へ上へとのぼっていくだけ。


屋上の鍵って、開いてるんだっけ?
そう思ったけど、口には出さない。


喋れるような雰囲気ではなかった。


―カチャ...


あたしの心配はいらなかった。


前を歩く男がドアに手をかけると簡単に開いた。
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