NAO
加地はやっぱりただのおっさんで、何も答えを導いてはくれなかったけど。


その頼りない感じも、良いと思った。


完璧とは程遠い加地との会話も、たまにはいいじゃんと思った。


加地と話すのは疲れない。


...それも2週間に1回くらいの頻度だったからかもしれないけど。


ある日、加地は言った。
夏休み直前の週だったはずだ。




「平内には夢があるか?」

「夢...?」

「そうだよ。
たとえば...そうだなぁ。
犬を飼いたいとか。」

「何それ?例えになってない気がするんですけど。」




加地が目の前で弱々しい顔をして笑った。
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