NAO
頭が痛い。


体が熱い。


梅雨入りしそうな重い灰色の空が、外に広がっている。


降るなら、降っちゃえ。


そう思った。


空が重くて地面に近いほど、人は狭い思いをしなきゃいけないから。


なんだか窮屈で梅雨は嫌いだ。


メールの返信も待たないまま、俺は眠っていた。

+*+

―ピーンポーン...


マンションの部屋にチャイムの音が鳴り響く。


俺は寝起きのせいか、重たい体を起こして玄関へ向かう。


鍵を解いてドアを開けた。
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