NAO
携帯を取って母さんの今の家に電話をかける。


―prrrr...


何回目かのコールで母さんが出た。


いつもこの家にかけて電話に出るのは母さんだ。


母さんの新しい夫でもなく、その夫の連れ子でもなく。





『はい佐々木ですが...』

「母さん?」

『...直。具合はどう?』

「もう平気。おにぎり、ありがとう。」

『いいえ。...今から学校?』

「そ。あ、朝早くに電話かけちゃってごめん。」




6時と言う時間だったことに気付き、俺は謝った。


母さんが新しい家族に責められたら嫌だし―
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