【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
「俺との組み手は取りやめだ。各自部屋で休憩。午後にトレーニングルーム集合にしよう」


会長の言葉に、あおちゃんはアッキー先輩を連れて道場を出ていく。


「なんだ、あれ。化け物共が」


あおちゃんの、アッキー先輩の本気に触れて、ゾッとした。私の強さなんて、まだまだだと思った。


でも、あの二人を従えるこの皆川壮平という男は、きっと、もっと化け物なのだろう。


龍兄以外の他人を、怖いと思ったのは初めてだ。


今は体中の痛みのせいで、その恐怖を立ち向かうワクワクに変える力が湧かない。さっきのアッキー先輩を思い出すと、情けないが体が震えてくる。


私は、弱い。自分より強い者を龍兄しか知らなかったから、無知だ。死の恐怖を本能的に悟った私は、ちっぽけで、弱くて、自分の力を過信した愚か者なんだ。
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