【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
道場に残ったのは私と皆川会長だけ。畳の香りに混じって、皆川会長の品の良いフローラルの香りが少しだけ鼻腔を掠める。
「防具脱げ。汗が出て体が休まらないだろう」
まだ座り込んだままの私に会長が寄り、防具を外すのを手伝う。
「葵は戦うことが一番好きな獣みたいな奴だし、秋仁は俺達の中で一番狂暴な裏を持っている。驚いたか?」
「うん……戦って、良く分かった」
防具を脱ぐと、体が一気に楽になるが、息の詰まりは治らない。
「さっきの秋仁の一撃だろう。見せろ」
「あん!?アホか!何が悲しくて男子に腹を見せにゃならん!……イッテェ」
本当に、朝の一件といい、コイツにデリカシーはないのか。それとも私を女だと思っていないのか、はたまた女に興味がないのか。