【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
夏の夜の冷たいような、暑いような風に吹かれ、春風と二人で帰る帰り道。


「怒涛だな、夏休み。休まらねぇ」


「ん。あの人達といると、ホント休みないよね。毎日バタバタでイベント事の延長線みたいだね」


他愛もない会話。春風の、4年前とは違ったすっかり低くなった声が、鈴虫よりも穏やかに響く。


「っていうか、春風、なんか今日ずっと静かだな。どした?」


ずっと気になってはいたんだが、春風が今日、機嫌悪いっぽい。なんでだろ?女子じゃあるまいし、生理じゃなかろうな。


春風は私の質問に、帰路に就いていた足を止めた。


振り返る春風。ソース顔だがまぁまぁイケメンな顔がこちらを真剣に見る。


春風がこんな風な大人みたいな顔をするなんて思ってもみなかったから、私もいつものように悪態を吐くことが出来ない。
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