【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下



効果音をつけるとしたら「ちょん」だろうか。


一瞬、ほんの一瞬の出来事。それは流れ星が流れるくらいの時間だっただろう。


会長の美しい顔が私にずいーっと寄って、唇に柔らかい感触が降ってきたのだ。


「まさか、春風に先に奪われてねぇだろうな?……いや、このリアクションは、初か」


なんて、真顔で言いくさりやがった皆川会長は、そのあと何も喋ることなく公務を再開した。


いや、待て待て待て待て。今の、私の、ファースト、キス……!


あんなにあっさり奪われてしまった。有り得ない、有り得ない!しかも真顔で働いてんじゃねぇよ!


腹立たしさでいっぱいだが、言い返す気力が湧かない。マジか!嘘だろ!何、どゆこと!?
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