【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
「……お前、他人の手料理とか、イケる奴か?」


イライラの中、急に会長がそんなことを言い出すのが、聞こえる。さっきまで沈黙だったから、尚更響いて。


「え……別に、食いもんならなんでも。ゲテモノじゃなきゃ」


「じゃあ、今日うちに来い」


うちに……うちに!?今、うちにって言ったよな?聞き間違いじゃねぇよな?


「な、どういう風の吹き回しだ皆川会長!?」


私が再び皆川会長の顔を見ると、思っても見ない事態で。


夕焼けのせいと言われればそう見えなくもないが、会長の顔は真っ赤で、表情も、何となく完璧じゃなくて。等身大の男子高生みたいな甘酸っぱい顔で。


「この間……キス、したからな。あれだよ」


どうやら、この誘いは私のファーストキスの代償、らしいっす。
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